2026.05.11 · 公開ノート #001

自動から自律へ — 1 人 + AI で運営する MU の損益と、なぜ全部オープンソースにしたのか

Enabler Inc. 読了 5 分 tag: ops, indie

北海道弟子屈町の気象データから AI が T シャツを生成する MU というブランドを始めた。今日まで 4 日。誰も雇っていないが、毎時 / 毎日 / 毎月、勝手に新しい服が生まれている。これは「自動 (automation)」だ。次にやりたいのは「自律 (autonomy)」だ。差は何か、何が動いていて何が動いていないか、いくら稼いでいくら使っているか、コードは何処にあるか。全部出す。

1. なぜ無人会社にしたか

2 つだけ。
(a) 飽きるから。 同じ服を毎月作るのは退屈で、退屈な仕事は AI に任せたい。
(b) 速くて、ノイズなく、毎日違うものを世に出したいから。 これは僕の他のプロダクト全部に通底する哲学で、人間が間に挟まると速度が下がる。

結果的に「AI が作って、AI が値付けして、AI が広告を打って、AI が出荷指示する」という方向に進んでいる。 NOUNS DAO がやろうとしている autonomous brand の、雑な日本版だと思ってもらってよい。

2. 何が動いているか — 自動の部分

cron と API の組み合わせ。具体的にはこう。

頻度仕事仕掛け
毎時MUGEN 1 案を生成。108 サイクルcron → Gemini 3 Pro Image → Printful → R2
毎日MUON を弟子屈の気温に応じて N 枚生成cron → wttr.in 取得 → 生成パイプライン
毎日MU × YOU 各登録者に 1 案ずつcron → 個別 prompt → メール送信
毎月 1 日MA オークション 1 着cron → bonding curve 価格算出
都度注文が入ったら Printful に自動発注 → 世界配送Stripe webhook → Printful API
都度NFT 証明書 Soulbound mintStripe webhook → Solana

人間が触っているのは コード方針 だけ。日々の意思決定(何を作るか、いくらか、誰に売るか、誰に NFT を渡すか)には基本介入していない。

3. 何が動いていないか — 自律にはまだ遠い

正直に書く。これは automation であって autonomy ではない。差はこれ。

つまり 実行は自動だが、判断は半人力。これを 6 ヶ月以内に「判断も自律」に持っていくのが次の課題。

4. お金 — 現在のキャッシュフロー

立ち上げから 4 日目時点。数字は包み隠さず。

total drops
/you subscribers
designs generated
total revenue *

/api/transparency から直接 fetch。リロードで最新が反映される。

* 「revenue」は price_jpy × sold の累計(products テーブル)+ MA 落札額。Stripe の生流入とは数字が 少し ズレる(返金・テスト購入を含む)。 詳細な MRR・粗利は /api/transparency を叩いてください。
書きながら少し恥ずかしい数字でも、それでも書く。隠したら自律ブランドの意味がない。

毎月のコスト(概算)

項目料金備考
Fly.io (mu-store + 周辺)~$8nrt リージョン、1GB volume
Cloudflare R2 (mockup CDN)$010GB 無料枠の中
Resend (メール)$03,000 通/月 までは無料
Gemini 3 Pro Image~$30/月毎時 + 毎日 + /you で 800 案/月想定
Printful$0注文時のみ販売額の 50% 程度
Solana mint 手数料~$0.01/着Soulbound NFT
独自ドメイン$1/月wearmu.com / mockups.wearmu.com
固定費 計~$40/月≒ ¥6,000
Google Ads (テスト)¥10,00010 日間限定、5/11 から走り始め

つまり 月 6,000 円で 800 案の T シャツが空中で生まれ、世界に配信されている。MUGEN を 1 着売れば固定費はペイする。

5. 全部 GitHub に置いた — オープンソース

MU 全てのコードはこちら。

https://github.com/yukihamada/mu-brand

これは「ブランドのコード」なので、フォークすれば誰でも別ブランドが立てられる(実際 MIT ライセンス)。生成 prompt も価格曲線も email 文面も値付けロジックも全部読める。NOUNS が DAO 仕様を CC0 にしたのと同じ精神で、 fork されてどんどん別の brand が立つほど元の MU の価値が上がる と思っている。

もし MU のコードを使って自分のブランド(食べ物でも、家具でも、何でも)を立ち上げたら教えてほしい。お互いリンク張りに行く。

6. 次の 6 ヶ月 — 自律 (autonomy) への道

具体的な改善計画は ROADMAP.md に書いた。要約:

このうち autonomy に効くのは P1-A(Skip 学習)と P1-D(PDF レポートの自動コピー生成)あたり。最終的には MU の Stripe 残高と Google Ads コンソールを LLM が監視して、自分で広告予算と入札を決める、まで持っていく予定。

7. 心理学を入れて転換率を上げる

ところで /you は PSYCHOLOGY.md に書いた行動経済学 18 原則を、コード上にすでに織り込んだ。例:

全部嘘をつかずに、本当に有限なものにだけ scarcity を使う。ダーク パターンは入れない。これも全部 commit log と main.rs に書いてある。

8. 月 1 で同じノートを書く

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