プリント
全面プリント(昇華転写)アパレルの作り方|柄を端まで入れる入稿のコツ
全面プリント(オールオーバープリント/AOP)は、生地を裁断する前にデザインを一面に転写し、それを縫製して仕上げる「裁断前プリント」が基本です。縫い目の端まで柄を入れられるのが最大の特徴で、Tシャツやパーカー、ラッシュガードでよく使われます。この記事では、もっとも一般的な昇華転写(ダイサブリメーション)を中心に、材料の選び方・工程の順番・入稿データの作り方・ロット/コスト/納期の目安・品質と法規の注意点まで、実際に発注・自作する人が迷わない形でまとめます。
材料・素材の選び方
| 材料 | ポイント |
| 白ベースのポリエステル生地(ポリ100%推奨) | 昇華転写は染料がポリエステル繊維に気化定着する仕組み。綿には定着しないためポリ100%が基本。混紡(例ポリ65/綿35)は発色が薄くなりヴィンテージ調になる。色は染料が乗る白〜淡色のみ。 |
| 昇華転写紙(サブリメーションペーパー) | 専用インクを一旦この紙に印刷し、熱で生地へ移す。一般のコピー用紙では転写ムラやインク戻りが起きる。生地幅に合わせたロール紙が量産では一般的。 |
| 昇華転写インク(ダイサブインク) | ヒート時に気化(昇華)してポリエステルに染み込む専用染料インク。顔料インクや通常のインクジェットインクは不可。 |
| プリント済みパネル/カットソー資材 | 全面プリントは「生地→転写→裁断→縫製」が王道。前身頃・後身頃・袖などパーツごとに型紙レイアウトして転写してから裁断する(カット&ソー方式)。 |
| 縫製副資材(リブ・スレッド・タグ等) | 襟リブや裾リブ、縫い糸、ネームタグなど。全面柄に合わせて無地や共柄を選ぶ。家庭用品品質表示法の組成表示タグも必要。 |
作り方(工程ステップ)
- デザイン作成(裁断前の一面データ)前身頃・後身頃・袖・フードなど各パーツの型紙形状に合わせ、生地一枚に展開した状態でデザインを作る。リピート(連続柄)にするか一点絵にするかをここで決める。色は昇華の発色特性を踏まえCMYKまたはRGBで指定(工場の指定に従う)。
- 入稿データの仕上げ(端まで柄を入れるコツ)縫い代分まで柄を伸ばす『ブリード(裁ち落とし)』を3〜10mm程度付ける。縫い目で柄が途切れないよう、隣接パーツの柄を見当(合い印)で揃える。解像度は原寸150dpi以上が目安。文字や細線は縫い代に重ならない位置へ。
- 昇華転写紙への印刷ダイサブインク対応のインクジェットプリンタで、ミラー(左右反転)して転写紙に印刷する。インク量・乾燥時間を管理し、紙の波打ち(コックリング)を抑える。
- ヒートプレス(転写)転写紙の印刷面を生地に重ね、おおむね190〜210℃・30〜60秒・適正圧でプレス(数値は紙/インク/生地で変わるため要テスト)。熱で染料が気化しポリエステル繊維内部に定着する。表面に乗るのでなく繊維が染まるため、手触りが変わらず色落ちしにくい。
- 検反・裁断(カット)転写ムラ・色ズレ・見当ズレを検反。問題なければ型紙に沿って各パーツを裁断する。柄の連続性が出るよう、見当を合わせて裁つのが品質の分かれ目。
- 縫製・仕上げ前後身頃・袖・リブを縫い合わせ、襟付け・裾上げ・タグ付けを行う。縫い目で柄が連続しているか最終チェック。検品・検針(縫い針の混入チェック)後、たたみ・梱包して完成。
必要な設備・道具
- 昇華インク対応インクジェットプリンタ(自作は小型機、量産はロール対応の大判機)
- 昇華転写紙(カット紙またはロール紙)
- ヒートプレス機(小物は平面プレス、生地ロールはカレンダー式ロータリーヒートプレス)
- 裁断設備(自作はハサミ/ロータリーカッター、量産は自動裁断機やレーザーカッター)
- 工業用ミシン・ロックミシン(縫製)
- 検針機(金属探知・量産の出荷前必須)
- デザイン/型紙ソフト(Illustrator・Photoshop・CADパターン)
ロット・コスト・納期の目安
| 最小ロット | 小ロット・1枚から対応する工場やサービスもあります(その場合は既製の白ブランクに転写する簡易方式が多い)。生地から作るフルカット&ソーの全面プリントは、型起こしやセットアップの都合で1型あたり数十枚〜が現実的な目安です。あくまで目安で、工場により大きく異なります。 |
| コスト感 | 目安として、1枚だけの試作やオンデマンドは1枚あたり数千円台になりやすく、生地から作るカット&ソーをまとまった枚数(数十〜数百枚)発注すると1枚あたりのコストは下がる傾向です。具体額はデザイン面積・生地・縫製仕様・枚数で変動するため、必ず見積もりで確認してください(ここでの数値は断定でなく目安)。 |
| 納期 | 目安として、既製ブランクへのオンデマンド転写は数日〜2週間程度、生地から作るフルカット&ソーは型紙・サンプル確認を含めて数週間〜1.5か月程度を見込むのが一般的です。初回は色見本(プルーフ)の確認時間を別途見込んでください(いずれも目安で工場により変動)。 |
自作 vs 工場発注
自作が向くのは、1〜数枚の試作・既製ブランクへのワンポイント的全面転写・色や柄の検証段階。小型プリンタとヒートプレスがあれば始められます。工場発注が向くのは、生地から型紙レイアウトして裁断前に転写するフルカット&ソー(縫い目の端まで柄を連続させたい場合)、安定した発色・見当精度・検針が必要な量産。ロータリーヒートプレスや自動裁断は個人で揃えにくいため、品質と枚数を求める段階で工場に切り替えるのが分かれ目です。
品質・法規の注意
- 家庭用品品質表示法:繊維製品は組成(例ポリエステル100%)・取扱い表示・表示者名の絵表示タグが必要。
- 景品表示法:『色落ちしない』『完全に同じ柄』等の断定的・優良誤認表現は避ける。昇華転写は淡色ポリには強いが綿混では発色が落ちる旨を正しく伝える。
- 昇華の特性上、縫い目・縫い代・リブ部分は完全な柄連続にならない場合がある。サンプルで合い印精度を確認する。
- 第三者の著作物・商標・キャラクター・写真を柄に使う場合は権利処理が必要(権利侵害に注意)。
- ポリエステルは熱に弱く、昇華再加熱(アイロン高温)で色移りする可能性があるため取扱い表示で注意喚起する。
よくある質問
- 全面プリントは綿のTシャツにもできますか?
- 昇華転写は染料がポリエステル繊維に定着する仕組みのため、綿100%にはほぼ定着しません。綿混(例ポリ65/綿35)は発色が薄くなりヴィンテージ調になります。鮮やかに端まで入れたい場合はポリエステル100%・白〜淡色生地が基本です。綿地に全面プリントしたい場合はDTGや別工法を検討します。
- 柄を縫い目の端まで途切れず入れるにはどうすればいいですか?
- 裁断前に生地一枚へデザインを転写する『カット&ソー方式』で作り、入稿時に縫い代分のブリード(裁ち落とし)を付け、隣接パーツの柄を見当(合い印)で揃えます。それでも縫い目・縫い代・リブ部分はわずかにズレることがあるため、サンプルで連続性を確認するのが確実です。
- 入稿データの解像度や形式はどうすればいいですか?
- 目安として原寸150dpi以上、各パーツの型紙形状に合わせて生地一枚に展開し、縫い代まで柄を伸ばします。形式はAI/PSD/高解像度のPNG/TIFFなど工場指定に従い、カラーモードや反転(ミラー)要否も事前に確認します。
- 1枚だけ作れますか?小ロットは可能ですか?
- 既製の白ブランクへ転写する方式なら1枚から対応するサービスもあります。生地から作るフルカット&ソーはセットアップの都合で1型あたり数十枚〜が現実的な目安です(工場により異なるため要見積もり)。
- 昇華転写と他のプリント(シルク・DTG)の違いは?
- 昇華は生地そのものを染めるため手触りが変わらず色落ちしにくい反面、ポリエステル・淡色に限られます。シルクスクリーンはインクを版で乗せる方式で綿に強く量産向き。DTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)は綿に直接インクジェットでき小ロット向きです。素材と枚数で使い分けます。
MUなら、言うだけ。MUなら、ここで挙げた『型紙レイアウト・ブリード付け・ミラー印刷・見当合わせ・検針・組成タグ』といった工程を、作りたいイメージを言葉で伝えるだけで裏側に任せられます。データの作り込みや工場とのやり取りを省いて、まず1枚から形にし、良ければそのまま量産へつなげられるのが向いている使い方です(仕上がりや素材の制約は工法どおりなので、サンプル確認は同じく大切です)。
MUでプリントを作る →
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