🛠️ つくりかた by MUMUで作る →
ニット

無縫製ニットセーターの作り方|縫い目のない一体成形ニットを作る方法

オリジナルのニットセーターは「糸を選び、編み機でパーツを編み、リンキング(目つなぎ)で縫い合わせる」のが基本工程です。なかでも縫い目のない「無縫製(ホールガーメント/WHOLEGARMENT)」は、横編み機が前身頃・後身頃・両袖を立体的に一気に編み上げ、リンキングを省ける製法。この記事では、無縫製と通常の成形編みの両方を踏まえつつ、素材選びから編成・仕上げ・検品まで、個人の試作から工場量産までを工程順に解説します。コスト・納期は製法やロットで大きく変わるため、すべて目安として示します。

材料・素材の選び方

材料ポイント
ウール(メリノ等)保温性と弾力に優れ定番。番手は2/48・1/15など。チクチク感を抑えるなら18.5μm前後のエクストラファインメリノを選ぶ
コットンオールシーズン向き。発色が良く洗いやすいが、ウールより目落ち・伸びに注意。番手で厚みを調整
カシミヤ/ウール混高級感と柔らかさ。100%は高価で量産ハードルが高く、ウール混で価格と風合いのバランスを取ることが多い
アクリル/合成繊維低コストで発色が安定。量産・低価格帯で多用。ピリング(毛玉)対策に撚りの強い糸を選ぶ
糸の番手と引き揃えゲージ(編み目の密度)と厚みを決める要素。例:7ゲージならローゲージで厚手、12〜14ゲージでハイゲージの薄手。複数本を引き揃えて太さを調整する

作り方(工程ステップ)

  1. 1. デザイン・仕様を決めるシルエット(身幅・着丈・袖丈・ネック形状)、ゲージ、色、目的の風合いを決める。無縫製は立体成形が前提なので、後から大きく寸法を直しにくい。先に着用サイズ表(グレーディング)を固めるのが重要
  2. 2. 糸を選定し度目見本を編む使う糸と番手を決め、編み機で度目(編み目の張り)を変えた小さな編み地サンプル(スワッチ)を編む。ここで風合い・伸び・収縮率を確認し、洗い後の寸法変化を把握してパターンの数値に反映する
  3. 3. パターン作成とプログラミング成形編みは身頃・袖などパーツごとに増減目を設計。無縫製(ホールガーメント)はSDS-ONE APEX等のデザインシステムで一着分の編成データをプログラムし、機械が立体的に編む経路を組む。ここが無縫製の最重要かつ専門技術の工程
  4. 4. 編成(編み立て)横編み機(島精機・STOLLなど)に糸をセットし編成。成形編みはパーツが個別に編み上がる。無縫製は前後身頃と両袖が筒状につながった状態で一度に編み上がり、縫い代がほぼ出ない
  5. 5. リンキング・縫製(無縫製では省略/最小化)成形編みは肩・脇・袖をリンキングミシンで目を拾って接合する。無縫製はこの工程が原則不要で、ネックの始末など最小限のみ。縫い目がないため軽く、ごろつきが少ない
  6. 6. 糸始末・洗い(縮絨)・乾燥編み終わりの糸を裏で処理し、洗い(ウォッシュ/縮絨)でふくらみと柔らかさを出す。ウールは縮みやすいので温度・時間を管理。洗い後にプレス(蒸気・アイロン)で寸法と形を整える
  7. 7. 検品・寸法測定・仕上げ目落ち・穴・編みムラ・色差を検査し、規定の採寸表と照合。毛玉処理、ネーム・洗濯表示タグ付け、たたみ・梱包。量産では抜き取りまたは全数検品で歩留まりを管理する

必要な設備・道具

ロット・コスト・納期の目安

最小ロット無縫製(ホールガーメント)は機械・プログラムのセットアップ費が大きいため、量産では1型あたり数十枚〜が現実的な目安。試作・サンプルは1枚から対応する工場・編み立て屋もある(その分1枚単価は高い)。手編みや家庭用機なら1枚から作れるが量産再現性は別問題。具体的な最小ロットは工場ごとに大きく異なるため要確認。
コスト感あくまで目安:サンプル1枚は糸代+プログラミング・編成のセットアップ込みで数千円〜数万円規模になりやすい(無縫製はプログラム工数が乗るため高くなりがち)。量産単価は素材・ゲージ・編成時間・ロットで変動し、アクリル系の薄手で数百円〜、ウール混の中厚で数千円、カシミヤ等の高級素材はそれ以上が一般的な感覚。型ごとの初期費(プログラム代)が別途かかることが多い。正確な金額は必ず見積もりで確認すること。
納期目安:サンプル・度目見本は糸が手元にあれば1〜3週間程度。量産は型作り(プログラミング・サンプル承認)後、編成〜洗い〜検品で数週間〜2か月程度が一般的。糸の調達待ち、色出し(染色)が入ると追加で数週間かかることがある。繁忙期(秋冬物の発注集中)は伸びやすい。日程は工場と糸の在庫状況で大きく変わるため確定値ではない。

品質・法規の注意

よくある質問

無縫製(ホールガーメント)と普通のニットの違いは?
普通の成形編みは身頃・袖を別々に編んでリンキングで縫い合わせます。無縫製は横編み機が一着分を立体的に一度に編み上げるため、肩や脇に縫い目がほぼ無く、軽くて着心地が良く、縫製の手間と縫い代のロスが減ります。一方でプログラミングが専門的で、型ごとのセットアップ負担は大きくなります。
オリジナルニットは1枚から作れますか?
サンプルとしてなら1枚から対応する編み立て屋・工場もあります。ただし無縫製は編成データ作成のセットアップ費が乗るため1枚単価は割高です。家庭用編み機や手編みでも作れますが、量産時の寸法・品質の再現性は工業機に劣ります。最小ロットは工場ごとに異なるため要確認です。
ゲージ(編み目の密度)はどう選べばいい?
ゲージは1インチあたりの針数で、数字が大きいほど目が細かく薄手になります。7ゲージ前後はローゲージで厚手・ざっくり、12〜14ゲージはハイゲージで薄手・きれいめです。糸の番手と引き揃え本数で厚みを調整し、目的の風合いに合わせて選びます。まず度目見本(スワッチ)で確認するのが確実です。
納期とコストはどのくらい見ておけばいい?
いずれも目安ですが、サンプルは1〜3週間程度、量産は型作りの後で数週間〜2か月程度を見ておくと安全です。コストは素材・ゲージ・ロットで大きく変わり、型ごとのプログラム初期費が別途かかることが多いです。確定値は必ず工場の見積もりで確認してください。
毛玉(ピリング)を防ぐには?
撚りの強い糸や繊維長の長い素材を選ぶ、適切なゲージで編む、洗い・仕上げを丁寧に行うことで軽減できます。完全には防げないため、洗濯表示で手洗い・ネット使用などのケア方法を正しく伝えることも品質の一部です。
オリジナルロゴやデザインは入れられますか?
編み込み(ジャカード/インターシャ)で柄やロゴを編地に組み込む、刺繍やワッペンを後付けする、などの方法があります。編み込みはプログラム段階で設計するため早めに仕様を固める必要があります。色数や細かさで難易度とコストが変わります。
MUなら、言うだけ。
ここまでが、糸選び・度目見本・プログラミング・編成・洗い・検品という実際の工程です。MUの考え方はこの逆で、作り手は「こういうニットがほしい」と言葉で言うだけ。ゲージや度目の設計、編成データ作成、工場とのやり取りや品質表示といった専門工程は裏側で進み、検索でたどり着いたあなたが編み機やプログラムを覚えなくても、無縫製ニットの試作までたどり着けることを目指しています。まず自分で作ってみたい人はこの記事の工程を、手間を省きたい人は「言うだけ」の選択肢を、どちらも選べる状態が理想です。
MUでニットを作る →

関連する作り方