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オリジナルパーカー(フーディー)の作り方|プリント・刺繍の選び方
オリジナルパーカーは「どのボディ(生地)を選ぶか」と「どのプリント製法を選ぶか」の2軸でほぼ仕上がりとコストが決まります。厚手の裏起毛にはシルクスクリーン、写真や多色グラデーションにはDTG、小ロット多色にはDTF、立体感と高級感には刺繍、というのが製法選択の基本です。本記事はこの選び方を、生地のオンス(厚み)・キュアリング温度160℃・入稿dpiといった具体値、1枚あたりの実勢相場、そして見落とされがちな表示義務(家庭用品品質表示法・JIS L0001)・PL法・各国規制・CO2排出量まで、製造を発注する人が知っておくべき実務レベルで解説します。
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材料・素材の選び方 材料 ポイント
裏起毛スウェット生地(ボディ) 厚手の定番は10オンス前後。10oz(約340g/㎡)が一般的な裏起毛パーカーの目安。オンス=1平方ヤードあたりの重量で、数値が大きいほど厚く保温性が高い。裏起毛は表面を毛羽立たせ空気を含ませた構造
裏毛(裏パイル)生地 7.0〜7.4オンスの薄手〜中肉。春秋向け。裏起毛と異なりループ状のパイルでさらっとした肌離れ。プリント面が安定し版ズレが少ない
綿(コットン)番手 番手は糸の太さの単位で数値が大きいほど細い糸。30番手前後が汎用、40番手以上は薄く上質な風合い。10oz裏起毛は20〜30番手の太め糸が中心。混紡はコットン/ポリエステル(例 80/20)でシワ・縮み・コストを調整
シルクスクリーン用プラスチゾルインク 厚盛り・高発色。約160℃でキュアリング(熱定着)して繊維に固着。濃色ボディには白の下刷り(ベース)が必要で色数=版数が増える
DTG(インクジェット)用水性インク 生地に直接吐出。350dpi以上推奨、細線画は600dpi推奨。風合いが柔らかく写真・グラデーション向き。濃色ボディは前処理(プリトリートメント)が必須
DTF転写フィルム+ホットメルトパウダー 版不要。フィルムに出力→パウダー定着→熱プレスで転写。1枚目も100枚目も同工程で小ロット多色に強い。熱プレスの温度・圧力・時間の最適化が剥離耐久を左右する
刺繍用ポリエステル/レーヨン糸 立体感と高級感。糸密度(ステッチ数)でコストが決まる。細かい文字(目安2〜3mm未満)は潰れるため再現に限界。裏当て芯地が必要
作り方(工程ステップ)
用途・枚数・色数を確定し製法を決める 30枚以下・写真調→DTGかDTF。30枚以上・1〜3色のロゴ→シルクスクリーン(版代を枚数で割れて単価最安)。立体ロゴ・高級感→刺繍。色数=シルクの版数で、版代は1色あたり約6,000〜10,000円。この設計でコストの8割が決まる
ボディ(生地)を選定する 保温重視は10oz前後の裏起毛、春秋・プリント安定重視は7.0〜7.4ozの裏毛。濃色ボディはDTG/シルクとも白の下地処理が増えコスト増。サンプル1枚を取り寄せ厚み・縮み・プリント面の平滑性を実物確認する
デザインデータを入稿規格で作る 解像度は350dpi以上、細い線画は600dpi推奨。シルクは色ごとに版分解(スポットカラー化)、DTG/DTFはCMYK+白版。刺繍はベクター+パンチング(刺繍データ化)が別途必要。原寸・配置・最小文字サイズ(刺繍は2〜3mm以上)を確認
製版・出力する シルク=色数ぶんのメッシュ版を製版(1色1版)。DTF=フィルムにミラー反転出力しホットメルトパウダーを定着。刺繍=ミシンデータへ変換。ここで色ズレ防止のトンボ・見当を合わせる
プリント/刺繍と熱定着 シルクはインクを刷り込み後、約160℃でキュアリング(熱定着)。この工程を省くと洗濯1〜2回でひび割れ・色落ちする。DTFは熱プレスで温度・圧力・時間を生地に合わせ最適化(剥離耐久の要)。刺繍は芯地を当て糸密度どおりに縫製
検品・洗濯堅牢度チェック プリントの定着(伸ばしてひび割れないか)、刺繍のほつれ・糸処理、色ズレ、位置精度を全数または抜き取りで確認。量産前にテスト洗濯(家庭洗濯数回)で剥離・退色を検証してから本生産に進む
表示ラベルを縫い付け出荷 組成表示・JIS L0001取扱表示・原産国・表示者の氏名/住所or電話を縫込みラベルや下げ札で付与(後述)。販売・輸出先の国規制に合わせ言語・記号を切り替える。検品済みを梱包し出荷
必要な設備・道具 シルクスクリーン版(メッシュ・紗・スキージ) 製版用露光機・乳剤 コンベアドライヤーまたはフラッシュ(約160℃キュアリング用) DTG(ガーメント)プリンター+前処理機 DTF出力プリンター+ホットメルトパウダー定着機 熱転写プレス機(温度・圧力・時間制御) 刺繍ミシン(多針)+パンチングソフト 検品台・色見本(DIC/PANTONE)・洗濯堅牢度試験用洗濯機
ロット・コスト・納期の目安
最小ロット 1枚から作成可能なサービスが多数(DTG/DTFは小ロット向き)。ただしシルクスクリーンは版代が固定費のため、実質的な“元が取れる”ロットは30枚以上が目安。100枚・500枚と増えるほどシルクの1枚単価が下がる。刺繍は1枚からだが糸密度で単価が決まる。
コスト感 【目安・要相見積】シルクスクリーン版代=1色あたり約6,000〜10,000円(標準8,000円前後)。プリント単価の試算例=30枚×1色で合計約17,000円(1枚約567円)、50枚×2色で約38,500円(1枚約770円)、100枚×3色で約84,000円(1枚約840円)。これにボディ代が別途加算。完成1枚あたりの市場相場はボディ+加工で概ね数千円〜1万円規模(仕様・枚数で大きく変動)。DTGは枚数増でも単価ほぼ横ばい、シルクは枚数で単価が下がり500枚超でDTGに逆転優位の領域も。
納期 業者・繁忙期で大きく変動するため要確認(未確認の一般値)。小ロットDTG/DTFは最短数営業日〜1週間、シルクスクリーンは製版を挟むため1〜2週間前後、刺繍やフルオーダー(型紙からの縫製)はさらに長く数週間〜が目安。秋冬(パーカー需要期)は納期が延びやすい。
品質・法規の注意 キュアリング(約160℃熱定着)を省くと洗濯1〜2回でひび割れ・色落ちが起きる。量産前にテスト洗濯で堅牢度を必ず確認する 濃色ボディへのDTG/シルクは白の下地処理が必須。下地不足は発色不良・色沈みの主因 DTF/熱転写は温度・圧力・時間の最適化が剥離耐久を左右する。生地ごとに条件出しが必要 刺繍の細かい文字(目安2〜3mm未満)は潰れる。最小文字サイズと糸密度を事前合意する 裏起毛は毛足でプリント面が沈むことがあり、厚盛りインクや版圧の調整が要る
国ごとの規制 国・地域 規制・必要対応
日本 国内販売は家庭用品品質表示法(繊維製品品質表示規程)が適用。組成表示・JIS L0001による取扱表示・必要に応じはっ水性表示が義務。表示者の氏名/名称+住所or電話の付記が必要。輸入販売する場合は輸入者がPL法上の製造業者として責任主体になる
米国(US) FTCが所管するTextile Fiber Products Identification Act(TFPIA)に基づき、繊維組成(fiber content)・原産国(country of origin)・製造者/輸入者のRN番号等の識別、別途ケアラベル規則(Care Labeling Rule)に基づく取扱い表示が必要。輸入時は関税分類・原産国マーキングも対象
EU Regulation (EU) No 1007/2011により繊維組成表示が義務(繊維80%以上の製品が対象)。ラベルは耐久性があり読みやすく製品に確実に付すこと。動物由来の非繊維部分の表示も必要。ケアラベルは法的義務ではないがEN ISO 3758の記号を任意使用可。2024年以降のGPSR(一般製品安全規則)等の販売要件も併せて確認
英国(UK) EU離脱後も英国版テキスタイル表示規則(Textile Products (Labelling and Fibre Composition) Regulations)で組成表示が必要。EUと近いが市場投入要件・責任者所在は別途確認が必要
表記・ラベル義務 組成表示:使用繊維ごとの質量割合を百分率(%)で表示(例 綿80% ポリエステル20%)。部位分離表示も可 取扱表示:JIS L0001の記号で、洗濯・漂白・乾燥・アイロン・商業クリーニングの順に5つの基本記号を並べて表示。直接製品に記載するか、製品から容易に取れない縫込みラベルで表示する義務(2024年8月20日改正でJIS L0001:2024準拠が原則) 表示者情報:表示者の氏名または名称+住所または電話番号の付記が必要 原産国表示:景品表示法(原産国告示)に基づき必要に応じ原産国を表示。輸出時は各国(米FTCのcountry of origin等)の要件に合わせる 認証マーク(該当時):衣料単体では通常CE等は不要だが、電子部品(光るパーカー等)や電波を使う機能を内蔵する場合はEUでCEマーク、日本で技適マーク(電波法)が必要になり得る
製造者責任(PL法) 製造物責任法(PL法)の責任主体は、①製造・加工・輸入した者、②氏名/商号/商標を表示した「表示業者」、③実質的製造業者と認められる表示をした者。アパレルではOEM(他社委託製造)が一般的だが、自社ブランドのロゴを入れて売れば、実際に縫製していなくても発注者が“表示業者”としてPL法上の責任を負う。輸入販売なら輸入者が責任主体。したがって(1)ボディの安全性・有害物質の確認、(2)どのロット・素材・工場かを追えるトレーサビリティ(製造記録・ロット管理)、(3)不具合時のリコール連絡体制を、発注者側でも整備しておくことが実務上の自衛になる。
環境・CO2排出量
カーボンフットプリント(目安): あくまで目安。綿Tシャツ1枚のカーボンフットプリント(CFP)は約15kg-CO2e(二酸化炭素換算)とされる調査値があり、パーカーは生地量が数倍あるためこれより大きくなると推定される(参考:アウター製品のCFP実測例は8.25〜24.87kg-CO2eの幅)。算定はLCA(ライフサイクルアセスメント)とPCR(商品種別算定基準)で、綿花栽培・紡績・染色・縫製・輸送・販売の各工程を積み上げる。特に染色工程は大量の水とエネルギーを使いCO2排出が大きい。正確な数値は素材・産地・工程で大きく変わるため要個別算定。
染色工程が水・エネルギー集約のため、無地ボディ活用や淡色化でCFPを下げられる
リサイクルポリエステル/オーガニックコットン混のボディ選択で原料由来排出を削減
小ロットDTG/DTFは在庫廃棄ロスを抑えられる(受注生産との相性が良い)
プリントは水性インク・必要最小限の色数で溶剤・洗浄水を削減
長く着られる厚手・高耐久仕様にし、買い替え頻度=総排出を下げる設計も有効
よくある質問
シルクスクリーンとDTG、どちらを選べばいい? 1〜3色のロゴを30枚以上なら版代を枚数で割れるシルクスクリーンが単価最安。写真やグラデーション、30枚以下の小ロットならDTGかDTFが向きます。500枚を超える大量生産では再びシルクが有利になる領域もあります。色数と枚数で逆転するのがポイントです。
プリントが洗濯で割れたり剥がれたりしないか心配です。 原因の多くはキュアリング(約160℃の熱定着)不足です。シルクはこの工程を省くと1〜2回の洗濯でひび割れます。DTF/熱転写は温度・圧力・時間の最適化が剥離耐久を左右します。量産前にテスト洗濯で堅牢度を確認してください。
裏起毛と裏毛(裏パイル)の違いは? 裏起毛は表面を毛羽立たせ空気を含ませた構造で保温性が高く、秋冬向け。裏毛はループ状パイルでさらっとした肌離れ、春秋向けでプリント面が安定します。保温重視なら10オンス前後の裏起毛、軽さとプリント安定なら7オンス台の裏毛が目安です。
自分のロゴを入れて販売する場合、法的に何が必要? 組成表示・JIS L0001取扱表示・表示者の氏名/住所or電話を縫込みラベル等で付ける義務があります(家庭用品品質表示法)。さらに自社ロゴで売るとOEM製造でもPL法上“表示業者”として製造者責任を負うため、ボディの安全性確認とロット管理(トレーサビリティ)が必要です。
海外(米国・EU)でも売りたい場合は? 米国はFTCのTFPIAで繊維組成・原産国・製造者識別+ケアラベル規則、EUはRegulation 1007/2011で繊維組成表示が義務です。記号や言語、責任者所在の要件が国ごとに違うため、ラベルを輸出先仕様に切り替える必要があります。
刺繍で細かい文字やロゴは再現できますか? 立体感と高級感が出ますが、目安2〜3mm未満の細い文字や線は糸で潰れて再現に限界があります。最小文字サイズと糸密度(ステッチ数=コスト)を事前に業者と合意し、必要ならプリントとの併用を検討してください。
MUなら、言うだけ。 ここまで読むと分かる通り、オリジナルパーカー1枚を世に出すには「製法×ボディ選定」だけでなく、キュアリング条件、入稿dpi、組成表示・JIS L0001ラベル、PL法の責任設計、輸出先ごとの規制、CO2算定まで、本来は専門の知識が要ります。MU(wearmu.com)なら、作りたいデザインやイメージを“言うだけ”で、製法選定・ボディ選定・入稿規格化といった工程判断と、表示ラベルや出荷の管理を肩代わりできます。あなたの依頼はそのままMUの発注管理(見積〜製造〜出荷)に乗るため、ここで解説した工程を一つずつ自分で手配する必要がありません。まずは作りたいものを言葉にするところから始められます。
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