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オリジナルラッシュガードの作り方|全面プリントで作る手順

オリジナルのラッシュガードは、ポリエステル系のストレッチ生地に「昇華転写プリント」で全面(フルグラフィック)に柄を入れて作るのが標準です。1枚から作れる業者もあり、1着あたりの相場はおおむね8,000〜12,000円(税込)。ポイントは①生地はポリエステル主体(昇華が乗るのはポリエステルだけ)、②データはCMYK・高解像度で作る、③売る前に組成表示・取扱絵表示(JIS L0001)などのラベル義務を満たすこと。この記事は作り方の具体だけでなく、日本・米国・EUで売る/輸出する際の規制、PL法上の責任、CO2の目安まで一通り押さえます。

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材料・素材の選び方

材料ポイント
ポリエステル/ポリウレタン混紡ストレッチ生地アクティブウェアの定番はポリエステル80%・ポリウレタン(スパンデックス)20%前後。昇華が乗るのはポリエステル側なので、ポリエステル比率が高いほど発色が良い。完全ポリエステル100%品(業者により採用)は発色最優先だが伸縮はやや劣る
生地の厚み(目付け/oz)ラッシュガードは概ね180〜240g/㎡(約5.3〜7oz相当)が標準。薄手はUV用・夏向け、厚手は擦過・保温向け。BJJ/サーフ用途は耐久重視で厚め。番手より目付け(g/㎡)で指定するのが確実
昇華転写インク(分散染料系)ディスパース(分散)染料インクをCMYKで使用。RGB入稿は不可、必ずCMYKモードで作成。生地内部に染み込むため表面に厚みが出ず、伸ばしてもひび割れしにくい
転写紙(昇華転写ペーパー)インクを一旦受理し、熱プレスで生地へ移すための専用紙。高転写率タイプを使うと色のロスが少ない
縫製糸・フラットシーマ縫製肌に当たる擦れを減らすため、縫い目が平らになるフラットシーマ/4本針ロックが定番。糸は伸縮に追従するウーリー糸。ステッチカラーを選べる業者もある(例:全10色)
UVカット機能(UPF)水着・マリン用途では「UPF50+」表示が標準訴求。UPFはJIS L1925で測定(紫外線A波/B波 290〜400nmの遮蔽)。UPF50は肌への紫外線影響を1/50に低減という意味

作り方(工程ステップ)

  1. 用途と仕様を決める水泳/サーフ用(薄手・UPF重視)か、BJJ/格闘技用(厚手・耐久重視)かで生地目付けを選ぶ。目安180〜240g/㎡、ポリエステル80%+ポリウレタン20%。袖丈(長袖/半袖)、ネック形状、ステッチ色も先に確定する
  2. デザインデータを作る(CMYK・高解像度)カラーモードは必ずCMYK(RGB不可・昇華はCMYK出力)。解像度は原寸で150〜300dpiを推奨(写真柄は300dpi、ベタ柄は150dpiでも可)。塗り足し(裁ち落とし)を10〜20mm付け、可動部(脇・肩)に濃色ベタや細い文字を置かない。多くの業者は専用テンプレートへの配置が必須
  3. 伸縮を見込んで版を補正するポリウレタン混生地は伸ばすと地色が透ける(グリンニング)。脇・肩など伸びる部位は柄を1〜3%程度引き延ばし補正、または白場が目立たない配色に。cut&sew昇華(裁断前のロールに転写)なら縫い目をまたぐ柄ズレを抑えられる
  4. 転写紙に出力する昇華転写プリンターで分散染料インクを転写紙へCMYK印刷。印刷直後は発色が沈んで見えるが、熱で気化定着すると鮮やかになる。ミラー(左右反転)出力が基本
  5. 熱プレスで生地へ昇華定着するヒートプレスの標準条件は約190〜210℃・30〜60秒・適正圧。温度が高すぎると生地が黄変・縮み、低い/短いと色が浅く定着不良。生地・インクの推奨条件で必ずテストプレスして色出しを確認する
  6. 裁断・縫製・仕上げパターンに沿って裁断し、フラットシーマ等で縫製。襟・袖口を始末し、洗濯堅牢度(色落ち)と伸長後の柄割れを検品。量産前に必ずサンプル1着で実着確認する
  7. ラベル付け(販売するなら必須)組成表示・取扱絵表示(JIS L0001:2024)・表示者の氏名/連絡先・原産国を縫い付け。輸出先がある場合は米国/EUの表示要件も同時に満たす(後述)。販売前にこの工程を飛ばすと法令違反になる

必要な設備・道具

ロット・コスト・納期の目安

最小ロット1枚から製作可能な業者が一般的(全面プリント・フルグラフィック対応)。ただし生地ロールから染める本格的なcut&sew昇華量産は、コスト効率の観点で実質的に数十枚〜が目安。1着試作→量産の二段構えが安全。
コスト感小ロット全面プリント業者の実勢:1枚=約11,880円(税込)、5枚〜=約9,020円/枚、10枚〜=約8,360円/枚(チットプラス等の公開価格・2026年時点の一例/目安)。量産(数百枚)でcut&sew昇華を海外/国内工場に出すと1着あたり数千円台まで下がるが、初期型代・サンプル代が別途かかる。価格は生地目付け・袖丈・縫製仕様で変動するため要見積。
納期小ロット全面プリント:データ確定後おおむね2〜4週間が一般的な目安(業者・繁忙期で変動・要確認)。サンプル承認を挟む量産は、サンプル2〜3週間+本生産3〜6週間程度を見込む。海外工場量産は船便で追加の輸送日数。

品質・法規の注意

国ごとの規制

国・地域規制・必要対応
日本家庭用品品質表示法の対象(水着・ラッシュガードは繊維製品として明記)。組成表示・取扱い表示(JIS L0001:2024)・表示者の氏名/連絡先の表示が義務。2024年8月20日に同法と取扱い表示記号が改正され、原則『JIS L0001:2024』準拠が必要。UPF等の機能訴求は景品表示法(優良誤認)にも注意
米国Textile Fiber Products Identification Act / Care Labeling Rule(FTC)が適用。繊維組成(多い順に%表示・機能上重要なら5%未満も明記)、原産国(country of origin、ラベル前面・襟付き品は襟内側中央)、製造者/責任事業者の表示、ケア(取扱い)表示が義務。これらは消費者に届くまで取り外せない縫付けラベルで(ハングタグ不可)。CBPとFTCが取締り。輸入時はHTS分類・関税も確認
EURegulation (EU) No 1007/2011(繊維名称・組成表示規則)が適用。組成表示(例『100% polyester』)が義務で、ラベルは耐久・判読可能・確実に取付け。ケア(取扱)表示は同規則では“義務ではない”が、EN ISO 3758のケア記号を任意で付すのが慣例。化学物質はREACH(制限物質・アゾ染料等)に適合が必要。各国語表示要件にも注意
英国EU離脱後も英国版の繊維表示規則(UK Textile Labelling Regulations、EU 1007/2011を踏襲)が適用。組成表示が義務。製品安全・化学物質はUK REACHに適合が必要

表記・ラベル義務

製造者責任(PL法)

製造物責任法(PL法)では、製品の欠陥により生命・身体・財産に被害が生じた場合、被害者は製造業者等に損害賠償を請求できる。アパレルはOEM(他社委託)が一般的だが、自社名を製品に表示した者や『自社が製造したと誤認させる表示』をした者(=ブランド/販売元)もPL法上の責任主体になり得る。ラッシュガードでは染料による皮膚障害、塩素/海水での想定外の劣化、縫製不良による怪我などが論点。完成品ブランドは委託先任せにせず、生地・染料の安全性検査、ロット管理(トレーサビリティ=どのロットがいつ誰に渡ったか追える記録)、回収(リコール)連絡網を整備しておくこと。PL保険(生産物賠償責任保険)の付保も検討対象。

環境・CO2排出量

カーボンフットプリント(目安): 目安:Tシャツ1着あたりのカーボンフットプリントは中央値で約3.0kg-CO2e(80%信頼区間で約2.1〜4.1kg-CO2e、Ecoinvent×1万回モンテカルロのベンチマーク)。算定条件次第で6.9〜18.3kg-CO2eと幅広い試算もある。ラッシュガードは長袖・厚手のことが多く、Tシャツより生地量が増えるぶん上振れしやすい。素材別ではポリエステル(PET)はバージン材で約1.2kg-CO2e/kg(=119.6kg-CO2e/100kg)と繊維の中では低めの部類で、綿より単位重量あたりの排出は小さい傾向。LCAでは『仕上げ(finishing)工程』が排出の最大要因の一つ(試算で平均約0.74kg-CO2e/着)。いずれも条件依存の“目安”であり、自社製品の正確な値は工場の電源構成・輸送距離込みで個別LCAが必要(要確認)。

リサイクルポリエステル(rPET)を選ぶと素材調達段階の負荷を下げられる(ただし算定方法で評価が割れるため要根拠確認)

昇華転写は水を使う捺染より排水・水使用が少ない傾向(乾式の熱転写)

小ロット・受注生産にすると在庫廃棄(売れ残り焼却)を減らせる=アパレル最大の無駄を抑制

ポリエステルは石油由来で生分解しないため、回収・再生(テイクバック)の出口設計が環境配慮の肝

よくある質問

綿(コットン)のラッシュガードは作れますか?
昇華転写は綿には定着しません(分散染料がポリエステル分子に染み込む仕組みのため)。全面プリントのラッシュガードは原則ポリエステル主体の生地が前提です。綿混にしたい場合は転写方式が変わり、伸縮・速乾性も落ちるため水着・スポーツ用途には不向きです。
1枚だけでも作れますか?相場は?
1枚から作れる全面プリント業者があります。実勢価格は1枚で約11,880円(税込)、5枚〜で約9,020円/枚、10枚〜で約8,360円/枚が一例(目安)。本格的な量産は数十枚〜でcut&sew昇華にすると単価が下がります。
入稿データはどう作ればいいですか?
カラーモードはCMYK(RGB不可)。解像度は原寸で写真柄300dpi・ベタ柄150dpi程度、塗り足し10〜20mm。脇・肩など伸びる部位に濃色ベタや細い文字を置かないのがコツです。多くの業者は専用テンプレートへの配置が必須です。
『UPF50+』と表示して売っても大丈夫ですか?
JIS L1925等の試験で実測した根拠があれば表示できます。根拠なく機能を謳うと景品表示法の優良誤認に当たる恐れがあります。販売前に試験データの有無を必ず確認してください。
自分のブランドで売る場合、何の表示が必要ですか?
日本国内なら組成表示・取扱い絵表示(JIS L0001:2024)・表示者の氏名/連絡先が義務です。米国へ輸出するなら繊維組成・原産国・ケア表示・責任事業者を縫付けラベルで(ハングタグ不可)、EUなら組成表示+REACH適合が必要です。
MUなら、言うだけ。
ここまでの工程——生地目付けの選定、CMYK入稿、伸縮を見込んだ版補正、熱プレス条件出し、そして組成表示・JIS L0001・米国/EUのラベル義務やPL法の手当て——は、本来どれも“知っていないと事故る”作業です。MUなら「BJJ用に長袖のラッシュガード、この柄で1枚」と言うだけで、最適な供給先への振り分けからプリント方式・サンプル確認までを巻き取れます。依頼はそのままMUの発注管理(見積・サンプル承認・出荷・トラッキング)に乗るので、作り方の各工程を自分で組み立てなくても、言葉から1着が立ち上がります(誇張なく、量産時の試験・表示は別途確認が要る点は同じです)。
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