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刺繍・プリント

全面プリント(フルグラフィック)アイテムの作り方|昇華転写の仕組み

全面プリント(フルグラフィック)とは、縫い目や端まで柄が回り込む「布全体が絵」になったアイテムのことです。Tシャツやラッシュガードで主流の作り方は昇華転写で、専用インクで印刷した転写紙をポリエステル生地に重ね、190〜205℃前後の熱と圧力でインクを気化させ繊維に染め込みます。ポイントは(1)ポリエステル限定であること、(2)白インクを使わないので「白は生地の地色を残す」表現になること、(3)裁断前の布にプリントしてから縫う「縫製前プリント」が必要なこと。この3つを外すと色が出ない・縫い目で柄がズレるという典型的な失敗になります。

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MUって? 「言えば作れる」オンデマンド製造ブランド(wearmu.com)。デザインを伝えるだけで、最適な供給先・見積・発注・納品まで自走でつながる。この記事の工程も、MUなら多くを“言うだけ”で省けます。

材料・素材の選び方

材料ポイント
ポリエステル生地(ニット/カットソー)昇華は混率が命。発色重視なら100%ポリ。風合い重視で綿混にすると染着率が下がり退色・白化する。Tシャツ生地の目安は4.0〜5.6oz、ラッシュガードは2way含むトリコット
昇華転写インク(分散染料インク)CMYKの分散染料系。熱で気化(昇華)しポリエステル繊維に化学的に定着。白インクは存在せず、白柄は生地の地色を残して表現する
昇華転写紙(ヒートトランスフェーパー)インク受理層付きの専用紙。坪量や速乾コートで転写率が変わる。大判ロール(おおむね幅900〜1600mm前後)で全面分を一括出力
離型紙・保護紙(プロテクトペーパー)プレス時のインク裏写り・台座汚染を防ぐ。全面プレスでは必須。クラフト紙系を上下に敷く
地色=白/淡色の生地昇華は地色より明るい色を出せない(白インクなし)。濃色生地に明色柄は沈むため、白〜淡色ベースが基本

作り方(工程ステップ)

  1. デザイン作成と専用テンプレートへの配置前身頃・後身頃・両袖など裁断パーツ形状の専用テンプレートに合わせて配置。縫い目で柄が切れる前提で、罫線・小さい文字・左右対称柄は縫い目をまたがせない。塗り足し(ドブ)を3〜5mm以上付け、端の白抜けを防ぐ
  2. カラー・解像度の入稿設定カラーはCMYKで作成(RGB入稿は色変換でくすむ)。実寸の原寸データで、画像解像度はおおむね150〜350dpi(写真柄は300dpi目安、ベタや大柄は150dpiでも可)。白く出したい箇所はデータ上「色を置かない=生地の地色」で表現する
  3. 昇華転写紙への鏡像(ミラー)印刷昇華対応インクジェットで転写紙に左右反転(ミラー)出力。文字を含む場合の反転忘れが最頻ミス。出力後はインクを十分乾燥させてから次工程へ
  4. 裁断前の布へ熱プレス(転写)生地と転写紙を密着させ、温度190〜205℃(ポリエステルの最適域は約200〜205℃/390〜400°F)、時間およそ30〜60秒(目安35〜50秒)、中〜強圧でプレス。低温長時間(例:150〜160℃で180〜240秒)で色を出すレシピもあり、生地で要調整。離型紙を上下に敷く
  5. 冷却・転写紙剥離・検品プレス後すぐに転写紙を剥がし冷却。気化したガスが完全定着したか、ムラ・ガスゴースト(輪郭ぼけ)・白抜けを検品。発色は転写紙上の見た目より沈むため基準サンプルと照合する
  6. 裁断・縫製(全面仕上げ)プリント済みの反物を各パーツに裁断し縫製。縫い目で柄が連続するよう可能な範囲で位置合わせするが、完全一致は不可と割り切る。最後に組成・取扱い・原産国を記載したケアラベルを縫い付ける

必要な設備・道具

ロット・コスト・納期の目安

最小ロット昇華は版が不要なため1枚から製作可能(オンデマンド)。ただし1デザイン10枚未満は小ロットチャージ(例:別途5,000円程度)を取る業者が多い。量産は反物カレンダー転写に切り替わり数十〜数百枚で単価が大きく下がる。MUなら1点から発注管理に乗る。
コスト感本体生地が1枚300〜1,000円超、これに全面昇華プリント代が乗る形。小ロットの全面プリントTは概ね1枚2,000〜4,500円前後が目安(枚数・生地・面積で変動)。少量は割高、量産(反物カレンダー)で1枚あたり大きく低下。すべて目安で、最終はデザイン面積・枚数・生地で要見積もり。
納期小ロットのオンデマンドで約1〜2週間が目安。データ不備(ミラー忘れ・RGB入稿・解像度不足)があると差し戻しで延びる。量産・反物カレンダー転写は2〜4週間程度を見込む(いずれも目安・業者により変動)。

品質・法規の注意

国ごとの規制

国・地域規制・必要対応
日本家庭用品品質表示法(繊維製品品質表示規程)の対象。販売時に組成(繊維の名称と混用率)と家庭洗濯等取扱方法(JIS L0001の絵表示・2024年8月20日改正版)の表示が義務。表示者の氏名/名称・連絡先の表示も必要
米国FTCのTextile Fiber Products Identification Act(16 CFR Part 303)で、繊維組成(重量比の多い順・5%未満はother fibers)・原産国(country of origin)・製造/輸入/販売者名またはRN番号の表示が必須。RNは米国内事業者にのみ発行(海外製造者は取得不可)。記録保持義務あり
EURegulation (EU) No 1007/2011により繊維組成表示が義務(例:100% polyester、恒久ラベルで耐久的に)。ケアラベル/原産国は本規則では必須ではないが、加盟国法・GPSR(一般製品安全規則)等で別途求められる場合がある。輸入者が責任主体となる
英国EU離脱後もUK版textile labelling規則として組成表示義務が実質維持。EUと同等の組成ラベルが必要(詳細は要確認)

表記・ラベル義務

製造者責任(PL法)

PL法(製造物責任法)上、欠陥で人の生命・身体・財産に被害が生じた場合の責任主体は『製造業者等』。製品に自社名を表示した者(OEMでも自社ブランド名を付けた事業者)や輸入した者も責任主体になりうる点に注意。販売だけの小売は原則対象外だが、自社ブランドとして表示・輸入する場合は実質メーカー責任を負う。ロット番号・生地ロット・プレス条件を記録するトレーサビリティを整え、染料の色移り・皮膚刺激等のクレーム時に原因切り分けとリコール対応(所管庁報告含む)ができる体制が望ましい。

環境・CO2排出量

カーボンフットプリント(目安): Tシャツ1枚あたりのライフサイクルCO2は中央値約3.0kg CO2e/平均約3.1kg CO2e(P10〜P90で約2.1〜4.1kg、10,000回モンテカルロLCAベンチ・目安)。内訳は製造段階が約60%(約1.79kg)、原材料約23.5%(約0.72kg)、使用段階約11.8%。バージンポリエステルは約3.5kg CO2e/kg、リサイクルポリエステルは約1.67kg CO2e/kgで約52%削減(いずれも目安・出典により幅あり)。昇華転写は水を使う反応染色に比べ排水が少ない乾式で、版も不要なためオンデマンド少量生産では廃棄ロスを抑えやすい。

リサイクルポリエステル(rPET)生地を選ぶとバージン比でCO2を約半減できる(目安)

昇華は乾式転写で染色排水が少なく、版を作らないため少量生産で在庫・廃棄ロスを削減しやすい

綿混不可の裏返しとして、単一素材(100%ポリ)はリサイクル時の分別が容易

転写紙・離型紙の紙ごみが出るため、出力サイズ最適化でロール無駄を減らす

よくある質問

綿100%のTシャツに全面プリントできますか?
昇華転写ではできません。昇華インクはポリエステル繊維にのみ染着し、綿には定着せず洗うと色が落ちます。綿(混)で全面柄が必要ならDTG(ダイレクト)など別方式を検討してください。発色重視なら100%ポリエステルが基本です。
なぜ白いデザインがうまく出ないのですか?
昇華転写には白インクが存在しないためです。白い柄は『生地の地色(白)を残す』ことで表現します。だから濃色生地に白や明るい色を乗せることは原理的にできず、白〜淡色ベースの生地が前提になります。
縫い目で柄がズレるのは不良品ですか?
不良ではありません。全面プリントは布を裁断・縫製する前にプリントする工程上、縫い目で柄を完全一致させるのは技術的に困難です。プロは縫い目をまたぐ細線・対称柄・小さな文字を避け、総柄やグラデーションで破綻を見えなくする設計をします。
入稿データの解像度と色設定は?
カラーはCMYK、実寸の原寸データで作成します。解像度はおおむね150〜350dpi(写真柄は300dpi目安、大きなベタ柄は150dpiでも可)。端の白抜けを防ぐ塗り足しを3〜5mm以上付け、転写は左右反転(ミラー)で出力します。
洗濯やアイロンで色落ちしませんか?
昇華染料は高温・紫外線・摩擦でガス化して再移行することがあります。アイロンは低温/当て布、乾燥機は避け、陰干し・低温洗濯を推奨してください。ケアラベルにその旨を明記するのが安全です。
何枚から作れますか?最低ロットは?
昇華は版が不要なので1枚から製作可能です。ただし1デザイン10枚未満は小ロットチャージ(例:5,000円程度)が付くことがあります。量産は反物カレンダー転写に切り替わり、数十枚以上で単価が大きく下がります。
MUなら、言うだけ。
ここまで読んで分かる通り、全面プリントは『綿混だと染まらない』『縫い目でズレる』『白は出せない』『国ごとに組成・取扱い・原産国の表記義務が違う』など、判断ポイントが多い作り方です。MUなら、作りたいイメージを言うだけで——素材(ポリ混率)選定、昇華に合う配色・縫い目を避けた柄設計、温度/時間/dpiといった製造条件、そして日本のJIS L0001ケア表示や米国RN・EU組成ラベルといった表記対応まで、面倒な工程を省けます。依頼はそのままMUの発注管理(見積・製造ルーティング・出荷)に乗るので、1点から量産まで同じ導線で進みます(規制対応は最終的に販売者側の確認が必要な点だけ要注意)。
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