金属・缶バッジ
オリジナル缶バッジの作り方|デザインから小ロット製造まで
オリジナル缶バッジは「紙巻き缶バッジ」が現在の主流で、絵柄を印刷した紙とフィルム・透明シェル・裏蓋を缶バッジマシンでプレスして1個から作れます。要点は3つ──①印刷データを300〜350dpi・CMYKで作り「巻きしろ(塗り足し)」を必ず入れる、②サイズは32/44/57/76mmが定番、③小ロットは1個50円台〜100個1万円前後が相場です。本記事は工程・材料規格に加え、販売・輸出時の規制(PL法/CPSIA/REACH)と原産国表示、CO2目安まで実数で解説します。
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材料・素材の選び方
| 材料 | ポイント |
| 金属パーツ(上蓋シェル/裏蓋) | ブリキ(tinplate=スズめっき鋼板)またはスチール合金製。スチール合金はさびにくく印刷にじみが少ない。サイズは外径25/32/38/44/57/76mmが標準(米インチ規格のmm換算のためメーカーで端数差あり) |
| 印刷紙 | コート紙110kg程度または上質コピー用紙。家庭用インクジェット/レーザーでも可だがコート紙の方が発色・耐水性が良い。印刷は300〜350dpi・CMYK・インキ総量300%以下推奨 |
| 透明フィルム(PETシェルフィルム) | 絵柄の上に重ねて表面を保護する透明保護フィルム。プレス時に紙ごと裏へ巻き込んでカシメる。UVカット仕様だと屋外退色を抑制 |
| 裏面パーツ | 安全ピン(鉄/ステンレス)が標準。ほかZピン・クリップ・マグネット・ミラー・スタンド・栓抜き・3Way等14種以上。直接肌に触れる金具はニッケル溶出に注意(EU/UK販売時) |
作り方(工程ステップ)
- サイズ・形・裏面パーツを決める定番は缶バッジ32mm(配布用)/44mm/57mm(最頻・ノベルティ標準)/76mm。形は丸・楕円・角・ハート等。裏面は安全ピンが標準、磁石やクリップは用途で選択。サイズ=マシンの上下蓋・シェル・カッター刃が一式で対応する必要がある
- 印刷データを作る(dpi・塗り足し)解像度300〜350dpi・カラーモードCMYK・インキ総量300%以下。各社配布テンプレートに配置するのが安全。塗り足し(巻きしろ)はカットラインの外側まで色をはみ出させる。文字・ロゴは仕上がり寸法から1.5〜2mm内側のセーフエリアに収め、フチの湾曲で切れるのを防ぐ
- 印刷するコート紙110kgまたは上質紙へCMYK出力。家庭用プリンタなら印刷後に十分乾かす(こすれ防止)。ベタ面はムラが出やすいのでテスト印刷で発色確認。少量自作はインクジェット、量産・外注はオフセット/オンデマンド
- 絵柄をカットするサークルカッター(マシン付属)またはカッティングマシンで、缶バッジ径+巻きしろ分の円にカット。例:57mmバッジなら直径約70mm前後の円(巻きしろは各社規定に従う)。刃はサイズ専用なので径ごとに必要
- プレス①フィルム巻き込み上蓋シェルを上向きにセット→絵柄紙→透明フィルムの順に重ね、缶バッジマシンのハンドルを下げてプレス。フィルムと紙が上蓋のフチに巻き込まれる。圧が弱いとフチが浮くので最後までしっかり押し切る
- プレス②カシメて完成裏蓋(安全ピン付き)をマシンの下型にセットし、上蓋と重ねて再度プレス。上下パーツがカシメられ一体化して完成。完成後はピンの開閉・フチの巻き込み・表面の気泡/シワを検品。量産時は抜き取り検査で寸法と密着を確認
必要な設備・道具
- 缶バッジマシン(プレス機・卓上ハンドル式/サイズ別の上下型)
- サークルカッター(径ごとの専用刃)またはカッティングマシン
- プリンタ(インクジェット/レーザー=少量自作、オフセット/オンデマンド=量産外注)
- デザインソフト(Illustrator/Photoshop/Canva・各社テンプレート)
- 裁断後の絵柄を平らに保つ作業台・乾燥スペース
ロット・コスト・納期の目安
| 最小ロット | 1個から製作可能(紙巻き製法)。外注の小ロットは10〜50個から、ノベルティは100〜500個ロットが一般的。自作マシンを買えば最小ロットの概念はなく、1個単位で随時製作できる |
| コスト感 | 【外注・目安】1個あたり約50円〜(缶バッジの達人は1個50円〜、日本缶バッジ工業は38mmで50個約83円/個・500個約74円/個)。100個なら概ね7,000〜12,000円が相場の目安。【自作】缶バッジマシン本体が数万円〜10万円前後+パーツ(シェル/フィルム/裏蓋/紙)。数量が多いほど自作が有利。いずれも目安・サイズ/形/裏面/紙質で変動 |
| 納期 | 外注は最短2営業日〜(短納期サービス)、通常3〜7営業日。データ不備や色校正があると延びる。自作は印刷〜プレスまで内製のため即日〜数時間(数量次第)。海外大量生産は2〜4週間+輸送が目安 |
品質・法規の注意
- フチの巻き込みで外周1〜2mmが隠れる:文字/ロゴはセーフエリア(仕上がり-1.5〜2mm)内に収める
- 安全ピンの開閉確認と先端の安全性:刺さり・ケガ防止のため検品必須。子供向けは特に
- フィルムの気泡・シワ・ベタ面のムラを抜き取り検査
- 屋外配布はUVカットフィルムでないと退色する
- 他者の著作物・商標・肖像を無断で缶バッジ化しない(版権・パブリシティ権侵害のリスク)
- 直接肌に触れる金具のニッケル溶出(金属アレルギー配慮)
国ごとの規制
| 国・地域 | 規制・必要対応 |
| 日本 | 一般向け装飾バッジは特定の事前規制なしだが、PL法(製造物責任法)の対象。子供(特に乳幼児)向けに販売する場合は消費生活用製品安全法に注意──2024年改正で乳幼児用玩具が『子供用特定製品』に指定され、2025年12月25日以降に製造・輸入される3歳未満向け玩具はPSCマークがないと販売・陳列禁止。缶バッジを乳幼児玩具として売る場合はPSC適合・年齢/注意表示が必要 |
| 米国 | 12歳以下の子供向け(children's product)に該当すると連邦CPSIAの対象。鉛総含有量100ppm以下(塗装/表面は90ppm以下)、CPSC認定ラボでの第三者試験とCPC(Children's Product Certificate)発行が必須。大人向けノベルティとして売るなら玩具規制外だが、ラッピング/訴求が子供向けだとみなされ得る点に注意 |
| EU | 子供向け玩具とみなされる缶バッジ/ピンはおもちゃ安全指令(EN 71シリーズ)適合+CEマーキングが必要。EN 71-1(小部品/鋭利)・EN 71-3(特定元素の溶出)に加え、肌に触れる金具はREACH附属書XVIIのニッケル溶出規制(EN 1811試験で確認)の対象。化学物質全般はREACHが広くカバー |
| 英国 | EU離脱後はUKCAマーキング体系。enamel pin/缶バッジが玩具扱いなら同等の玩具安全規制+UKCA表示、ニッケル溶出はREACH(UK版)に準拠。EU向けCEと別途UKCAの確認が必要 |
表記・ラベル義務
- 原産国表示:輸出入・小売流通時は『Made in Japan』等の原産国を明示(特に海外販売・OEM時)
- 子供向け玩具に該当する場合の必須表示:対象年齢・使用上の注意・警告(誤飲/小部品など)。日本はPSCマーク(乳幼児用玩具・2025年12月施行)、EUはCEマーク+EN71適合、米国は追跡ラベル(tracking label)とCPC
- 成分/素材の表示:金属(ブリキ/スチール)・ピン金具の材質。金属アレルギー配慮でニッケル不使用等を記載すると親切
- ブランド/製造者または輸入者の表示:トレーサビリティのため事業者名・連絡先を明記(PL法・各国法対応)
製造者責任(PL法)
日本ではPL法(製造物責任法)により、缶バッジの欠陥(ピンの脱落・先端のバリ・誤飲リスク・表面剥離など)で消費者が被害を受ければ製造業者・輸入業者が賠償責任を負う。ロット番号や製造日・仕入先を記録しトレーサビリティを確保し、不具合時に回収(リコール)できる体制を持つこと。子供向けに販売する場合は誤飲・刺傷リスクが特に重く、年齢表示・小部品警告・第三者試験記録(米CPC等)の保管が事実上の防御線になる。OEM/小売でも『販売した自社ブランド名で出す』場合は製造者とみなされ得る。
環境・CO2排出量
カーボンフットプリント(目安): 主素材のブリキ(tinplate=スズめっき鋼板)の製造CO2は、APEAL(欧州鋼製包装材協会)のLCAで約2.33kg-CO2e/kg、worldsteelのエコプロファイルでは回収まで含めた正味で約1.49kg-CO2e/kg(リサイクル便益Module D約-1.36)という調査値がある(いずれも目安・システム境界で差)。缶バッジ1個の金属重量はサイズで異なるが57mmで数g程度のため、金属由来CO2は1個あたりおおむね数g〜十数g-CO2e台の桁感(目安・要試算)。紙・フィルム・印刷インキ・輸送分は別途。鉄鋼は1tあたり約2.18t-CO2e(2024年世界平均)が参考値。
ブリキ/スチールは鉄系で高リサイクル性(EUのブリキ回収率は平均約71%)。使用後の金属分別回収で正味CO2を大きく削減できる
フィルムや裏紙のプラ/紙端材を減らす面付け最適化で歩留まり改善
水性/植物由来インキ・FSC認証紙の採用で印刷工程の環境負荷を低減
量産は輸送をまとめて1個あたりの物流CO2を圧縮(小口空輸は割高・高排出)
よくある質問
- 缶バッジは1個から作れますか?
- はい。現在主流の紙巻き缶バッジはマシンがあれば1個単位で製作できます。外注でも『1個から』対応するサービス(缶バッジの達人など)があり、1個50円台〜が目安です。
- 印刷データは何dpiで作ればいい?
- 300〜350dpi・カラーモードCMYK・インキ総量300%以下が目安です。各社配布のテンプレートに配置し、塗り足し(巻きしろ)はカットラインの外側まで色をはみ出させ、文字は仕上がり-1.5〜2mm内側に収めます。
- よく使うサイズは?
- 32mm(配布用)・44mm・57mm(最頻のノベルティ標準)・76mmが定番です。米インチ規格のmm換算のためメーカーで1mm前後の差が出ることがあります。
- 子供向けに売るときの注意は?
- 12歳以下向けは日米EUとも玩具規制の対象になり得ます。米はCPSIA(鉛100ppm以下+CPC)、EUはEN71+CEマーク、日本は2025年12月施行の乳幼児用玩具PSC規制に注意。年齢表示と誤飲/小部品の警告が必要です。
- 海外に輸出するとき何が必要?
- 原産国表示(Made in Japan等)に加え、対象市場の規制対応が必須です。米はCPSIA/CPC、EUはCE+EN71、肌に触れる金具はREACHニッケル溶出規制(EN1811)。事業者名表示とロット記録でトレーサビリティを確保します。
- 金属アレルギーは大丈夫?
- 裏面のピン金具など直接肌に触れる部分はニッケル溶出が問題になり得ます。EU/UK販売ではREACHのニッケル規制(EN1811試験)対象。ニッケル不使用やステンレス採用で配慮できます。
MUなら、言うだけ。ここまで読むと分かる通り、缶バッジは「作る」より「売る・配る・輸出する」段階の規制対応(PL法のトレーサビリティ、子供向けならCPSIA/CPC・CE/EN71、ニッケル溶出、原産国表示、CO2の説明)の方が手間がかかります。MUなら、言葉でデザイン意図を伝えるだけで、塗り足し付きの入稿データ整形・サイズ/裏面の選定・小ロット製造の手配までを発注管理に乗せられます。依頼はそのままMUの発注管理(誰がいつ何個・どの規格・どの仕向け地か)として記録されるので、PL法で求められるロット記録や原産国・対象市場の管理を最初から残せます。自分で全工程を抱えず、判断の必要な箇所だけ確認する形に省けます(※規制適合の最終判断・第三者試験の実施は販売者の責任で行う必要があります)。
MUで金属・缶バッジを作る →
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