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革小物

オリジナルレザーウォレット(財布)の作り方|名入れ刻印の手順

オリジナル革財布は「革を選ぶ→裁断→漉き→組み・接着→縫い穴→手縫い→コバ磨き→名入れ刻印」の順で作ります。鍵は2つ。外側2.0〜2.5mm/内側0.6〜1.0mmという厚みの設計と、箔押し(ホットスタンプ)の温度・圧・時間の出し方です。本記事では各工程の具体値に加え、自作・販売・輸出で必ず引っかかる規制(日本・米国・EU)、表記義務、PL法、革のCO2排出量の目安まで、作り始める前に押さえるべき情報をまとめます。

オリジナルレザーウォレット(財布)の作り方|名入れ刻印の手順・素材・規制まで完全ガイドのイメージ
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MUって? 「言えば作れる」オンデマンド製造ブランド(wearmu.com)。デザインを伝えるだけで、最適な供給先・見積・発注・納品まで自走でつながる。この記事の工程も、MUなら多くを“言うだけ”で省けます。

材料・素材の選び方

材料ポイント
ヌメ革(植物タンニン鞣し・外装)厚み2.0〜2.5mm。北米表記では約5〜6oz(1oz≒0.4mm換算)。経年変化(飴色化)を狙うなら未染色ヌメ。コシのあるショルダー部位が二つ折りに向く
内装用革(札室・カード段)厚み0.6〜1.0mm(約1.5〜2.5oz)に漉いた銀付き革。仕切りや小銭室の補強には1.5mmを部分使用すると重厚感が出る
手縫い用ロウ引き麻糸(リネン)細番手。菱目ピッチに合わせ、4mmピッチなら中太、3mmピッチの薄物には細糸。先端6〜8cmを菱錐側面でしごき細くしてから針付け
床面・コバ処理剤トコノール/トコフィニッシュ等。乾く前に綿麻・帆布でこすり毛羽を伏せる。仕上げにCMC・ふのりも可
ホットスタンプ箔・真鍮刻印版真鍮深堀版は版深約4mmでエッジが鋭くシャープに転写。真鍮は約800℃以上で変形するため運用温度は遥か下。箔押し用箔(金・銀・無色エンボス)と組で使用
接着剤・コバ顔料ゴム系(ボンドGクリア等)で仮接着→縫製。コバ塗り仕上げにする場合は専用コバ顔料を数回重ね、各層を乾燥・研磨

作り方(工程ステップ)

  1. 革を選び厚みを設計する外装2.0〜2.5mm/内装0.6〜1.0mm。oz換算は1oz≒0.4mm。型押しシボ革は同mmでも仕上がりが厚く柔らかく出るため、ハリの欲しい外装はスムースのコシ強め部位を選ぶ
  2. 型紙を起こし裁断する床革と銀付きの向き・銀面の傷を避けて配置(コバ際は特に)。手裁断は別たち+直定規、量産は油圧クリッカー+抜き型。コバから縫い目までの目打ち余白は3〜4mmを基準に細くしすぎない
  3. 漉き(スカイビング)で厚みを整えるバンドナイフ/革漉き機で水平にスプリット。折り返し・コバ際・貼り合わせ部を段差なく薄くする。手作業なら別たちで斜め漉き。内装は1mm前後まで落とすと収まりが良い
  4. 接着して組み立てる貼り合わせ面をヤスリで荒らしゴム系接着剤を両面塗布→指触乾燥後に圧着。札室・カード段を先に組み、最後に外装と合わせる。ローラーで気泡を抜く
  5. 菱目打ちで縫い穴をあけるピッチ3/4/5mmから選択(薄物・小物は3mm、厚物は4〜5mm)。ステッチンググルーバーで革表面に溝を彫ると糸が沈み、見た目と糸切れ防止に効く。木槌で垂直に打つ
  6. 手縫い(サドルステッチ)する麻糸を菱目の約4倍長で取り両端に針。1穴に2本を交差させ均一テンションで通す。糸先6〜8cmをしごき細くしておくと穴通りが良い。縫い終わりは2〜3目戻し縫いし糸を裏で処理
  7. コバを磨いて仕上げるコバを面取り→トコノール等を薄く塗り、乾く前に帆布で高速摩擦。番手を上げてヤスリ→塗布→磨きを2〜3回反復しガラス状の艶を出す。顔料仕上げなら各層を乾燥させ重ね塗り
  8. 名入れ・刻印(箔押し)を入れる端材で試し打ちが必須。植物タンニン革は焦げやすいので温度より圧と保持時間(おおむね1〜2秒前後)で詰める。真鍮深堀版(版深約4mm)でエッジを出す。空打ち(無色エンボス)か金銀箔かを革色で選ぶ。含水率で発色が変わるため1点ごと微調整

必要な設備・道具

ロット・コスト・納期の目安

最小ロット手作り・1点もの=MOQ1から可能。OEM/工房委託は既製品へのロゴ入れ(名入れのみ)で30個前後から、完全オリジナル設計の製造は最低100個前後が一般的な目安。国内小ロット工房は試作1点・量産10点〜相談という所もある(工房により大きく異なるため要確認)。
コスト感自作の材料費=ヌメ革・糸・コバ材で1点あたり数千円〜(革1枚買いの歩留まり次第)。OEMのサンプル/試作費=3万円〜(特殊素材・複雑構造は10万円超も)。名入れ(箔押し)の小ロット=版代+印刷代+諸費用込みで一式12,000円〜が目安。完全オリジナル量産の単価はロット・革グレード・工程数で大きく変動するため都度見積り(いずれも目安)。
納期自作は型紙確定後、1点あたり半日〜数日(手縫い・コバ磨きの工程数次第)。OEMは試作で2〜4週間、量産で革手配を含めおおむね1〜2か月が目安。名入れのみなら短納期対応の工房も多い(要確認)。

品質・法規の注意

国ごとの規制

国・地域規制・必要対応
日本財布は家庭用品品質表示法(雑貨工業品品質表示規程)の表示義務対象外(ハンドバッグ・ポーチ・財布等の袋物は対象外。旅行かばん等の『かばん』は牛/馬/豚/羊/やぎ革を外面積60%以上使用で皮革種類・取扱注意・表示者の表示義務あり)。表示義務がなくても景品表示法の優良誤認(『本革』なのに合皮等)は禁止
米国FTC Leather Guides(16 CFR Part 24)で素材の虚偽表示を禁止(合皮はsimulated leather等と明記)。原産国表示(19 CFR Part 134)で製品・包装にMade in 表示必須。California Prop 65で6価クロム/フタル酸/PFOA等が検出されると警告ラベル要(試験で不検出なら不要)。エキゾチックレザーはCITES/USFWS輸入許可が必要
EUREACH規則(EC)1907/2006 附属書XVII 第47項:皮膚接触する革製品は6価クロム(Cr VI)を総乾燥重量比3mg/kg以上含んではならない(2015年施行・試験法EN ISO 17075)。違反は市場監視当局によるリコール・罰金・販売禁止の対象
英国EU離脱後はUK REACHが適用。6価クロム制限など実質EU REACHを踏襲した制限が継続。EUとUKの両市場に出す場合は両制度への適合が必要(要確認)

表記・ラベル義務

製造者責任(PL法)

製造・加工・輸入した事業者はPL法(製造物責任法)の対象。革財布は『製造または加工された動産』に当たり、欠陥(金具の鋭利なバリで負傷、染料による皮膚障害=特に6価クロム由来の接触性皮膚炎等)で人身・財産被害が出れば賠償責任を負う。輸入販売者も製造者と同等の責任を負う点に注意。万一に備え、ロット番号・革のなめし種別・染料/薬剤・縫製日を紐づけたトレーサビリティ記録を残し、欠陥の疑いが出た時点で早期リコールできる体制を用意する。海外革を輸入してOEM販売する場合、自社が国内の製造物責任の最終窓口になりやすい。

環境・CO2排出量

カーボンフットプリント(目安): 牛革のカーボンフットプリントはLCAの境界設定で大きく変動する(目安)。革1m²あたり約110kg-CO2e(うち約93kgは畜産=牛の飼育由来)とする試算がある一方、と畜場以降だけを数えると約17〜22kg-CO2e/m²という値もある(いずれも目安・出典により差大)。フットプリントの大半は上流の畜産・と畜(約68%)。なめし・仕上げは地域の電源構成に左右される。財布1個の革使用量はおよそ0.1〜0.2m²程度なので、革素材分だけで概ね数kg〜十数kg-CO2e規模と推定(目安)。合成(ビーガン)レザーは概ね7〜15.8kg-CO2e/m²で動物革より低いという報告が多いが、耐久性・廃棄時のマイクロプラスチック問題は別軸。

端材を小物(カードケース・キーホルダー)に転用し歩留まりを上げる

染料・接着剤は水性・低VOC品を選び、なめし廃液・薬剤の管理を委託先に確認

6価クロムは健康・環境の両面でリスク。植物タンニン鞣しやクロムフリー鞣しの選択肢を検討

耐久性の高い手縫い(サドルステッチ)+修理前提の設計で『長く使う=最大のサステナビリティ』に寄せる

よくある質問

財布に使う革の厚みは何mm(何oz)が適切?
外装は2.0〜2.5mm(約5〜6oz)、内装は0.6〜1.0mm(約1.5〜2.5oz)が目安です。1oz≒0.4mmで換算します。仕切りや小銭室を1.5mmに上げると重厚感が出ます。型押し革は同mmでも仕上がりが厚く柔らかく出るので、ハリが欲しい外装はコシの強い部位を選びます。
名入れ刻印(箔押し)の温度・圧・時間は?
機種と革で最適値が変わるため固定値はありません。鉄則は『端材で試し打ち』。植物タンニン革は焦げやすいので、温度を上げるより圧と保持時間(おおむね1〜2秒前後)で詰めます。真鍮深堀版は版深約4mmでエッジが鋭く、シャープに転写できます。革の含水率で発色が変わるため1点ごとに微調整します。
自作した革財布を販売するのに表示は必要?
国内では財布は家庭用品品質表示法の表示義務対象外で、組成表示や取扱絵表示は不要です。ただし『本革』『牛革』等と謳うなら景品表示法上、実態と一致させる必要があります。米国向けはMade in表示とProp 65警告(該当時)、EU向けは6価クロム3mg/kg未満(REACH)への適合が必須です。
海外に売るとき一番引っかかる規制は?
EUのREACH附属書XVII第47項(皮膚接触する革は6価クロム3mg/kg未満)と、米国California Prop 65の6価クロム警告です。どちらも化学物質試験(EN ISO 17075等)の成績書が前提になります。国内基準だけで量産すると海外で差し戻され、刷り直しでなく作り直しになるため、出荷先を決めてから革を手配します。
OEMで作る場合の最低ロットと費用は?
既製品への名入れのみなら30個前後、完全オリジナル製造は100個前後が一般的な目安です(試作1点・量産10点〜相談という小ロット工房もあります)。サンプル費は3万円〜(複雑なら10万円超)、名入れ小ロットは版代込み一式12,000円〜が目安です。いずれも仕様で変動するため都度見積りです。
革財布にPL法(製造物責任)は関係ある?
あります。革財布は『加工された動産』でPL法の対象です。金具のバリでの負傷、染料・薬剤(6価クロム由来の接触皮膚炎等)の欠陥で被害が出れば、製造者だけでなく輸入販売者も賠償責任を負います。なめし種別・染料・ロット・縫製日を紐づけたトレーサビリティ記録を残し、早期リコールできる体制が安全です。
MUなら、言うだけ。
ここまで読むと分かる通り、革財布作りで一番重いのは縫いやコバ磨きより、出荷先ごとに変わる規制対応(EUの6価クロム試験、米国のMade in表示とProp 65、PL法のトレーサビリティ)と小ロット工房の選定・見積り往復です。MUなら『弟子屈のヌメ革で二つ折り、名入れ刻印つき、まずは少量、EU出荷も想定』と言うだけで、革の番手選定・漉き・縫製・箔押し・コバ仕上げまでの製造工程と、向け先ごとの規制チェックを設計側で引き受けられます。そして依頼はそのままMUの発注管理に乗るので、試作→量産→出荷の進捗とロット情報(トレーサビリティの土台)が一本の流れで残ります。誇張なく言えば、作り手は『何を・誰に届けるか』だけ決めればよく、規制で作り直す事故を前段で潰せます。
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